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■1回戦目

 1回戦、宇野プロはチーチャ(東1局の親)です。

 チーチャは他の親番と感触が違っています。親はアガってもツモられても点数が子より大きいため、勝負所となることが多いもの。その勝負所がいきなり来てしまうのがチーチャです。とはいえ最初の一局からエンジン全開とはなりにくく、あっさり親がすぎてしまう感覚があるのです。

 チーチャは大物手を狙ってぶちかまし、それがひとつのセオリーとなっています。宇野プロもその方針を取りました。


牌図1

 牌図1は宇野プロ、6巡目の手牌です。のトイツがありますが、それをのぞけばタンヤオ・ピンフ系。しかも345の三色まで見えています。ちょうど下家(右側の人)からが出たところですが、このを宇野プロはポンしませんでした。そして次巡、を落としていき、タンピン系の大物手を狙います。

 この手牌でこの状況なら、麻雀プロはたいがい同じように打つでしょう。しかし結果として、この戦略は裏目に出ました。そして、このズレが宇野プロの1回戦を決めることになったのです。

この局は南家のMr.珍氏が2000点をアガりました(牌図2)。宇野プロ、まずは空振りです。


牌図2

 東2局、これが宇野プロ、3巡目の手牌でした。

 ドラ

 この手を単純な2000点にせず、9巡目、宇野プロはこんなテンパイを入れます。

 ポン  ポン

 見事と言うべきか、強引と言うべきか。一般に上級者となるにしたがって、意味のないアガリは目指さなくなるため、特に条件のない局にはアガる価値のある手(=高い手)に育てるのです。

 しかしこのとき、場はそういったペースで進行していませんでした。この日の対局者3人は、早アガリ安アガリといったスタイルで、その結果として1回戦はおそるべき小場(安いアガリしか出ない場)で進行しました。オーラスまで、一番大きな点数移動がノーテン罰符の3000点という展開になったのです。


 この間、宇野プロは2回アガりました。東4局のリーチ・イーペーコー、2600点。そして南1局の發のみ、500点オールです。途中から小場に対応するアガリをしていたわけですね。

 オーラスを迎えたとき、宇野プロはトップのMr. Mr氏に2100点差の2番手につけていました。この2100点は、最初の2局だけ空振りしていた分と見ることはできないでしょうか。

 観戦していたかぎりでは、アガれそうなときだけアガって、無理せず進めてきたという印象を受けました。いや、というよりも、東3局あたりからバトルに入り込んでいったという方が正確かもしれません。つまりスタートは楽してしまったように見えたのです

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