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■2回戦

 5分の休憩をへて、2回戦が始まりました。
 東1局5巡目、南家のMr.珍氏はこの手牌から中をポンして、テンパイ一番乗りです。

 ドラ

 そして10巡目、どうせアガりにくいドラ側のカンチャン待ちなら、同じことだと思ったのでしょうか。ここからさらにをポンして、ドラのタンキ待ちにしたのです。これを次巡、スパッとツモアガリ。

 中野浩一さん言うところの「一瞬のタメを作らず突っ込む」とは、こういう打ち方のことかもしれません。このアガリによって、1回戦で3着だったMr.珍氏は勢いに乗りました。東2局、親になったMr.珍氏は早くも4巡目にリーチをかけてきます。


牌図3

 このとき、宇野プロも緊急事態を感じ取っていました。口では、「このハンチャンも、やっぱりダメだあ〜(泣)」と情けないことを言いながら、そのじつ、やはり勝負の世界に生きる男でした。牌図3の手牌で、上家(左側の人)の切ったをノータイムでポンしたのです。ここで引いていたらもう駄目だ。親のリーチに真っ向勝負ということでしょう。

 だが不思議なことに、焦った動きは好調者に利するもの。のシャンポン待ちという悪形リーチをかけていたMr.珍氏は、宇野プロが鳴いたあと、すぐツモアガリしました。

 ツモ  ドラ
裏ドラ


 リーチ・ツモ・ドラ2。親のマンガンで4000点オール。小場だった1回戦と違い、今度はいきなり大物手が炸裂したのです。


 こうなると、もう小さいアガリは意味を失います。宇野プロはマンガンクラスを狙って手作りしますが、アガリに結びつきません。

 東2局1本場はMr. Mr氏が北のみのアガリ。東3局もMr. Mr氏がリーチ・ピンフ・ツモのアガリ。宇野プロは東場の親がなくなりました。


牌図4

 東4局、ここで宇野プロは面白いテクニックを披露します。ホンイツ東の待ちでテンパイしているところから、9巡目に対面(正面)の切ったをポンしたのです(牌図4)。

 これは普通なら絶対してはいけない鳴き方です。しかし名人に定石なし。ここでは緻密な読みが入っていました。


 もともとのテンパイ形であるは、自分で2枚使い、場に2枚切られています。つまり待ち牌があと4枚残っているテンパイです。それに対してをポンした待ちは、自分で3枚使い、場に一枚も切られていません。ということは残り5枚のテンパイです。

つまりポンすることによって、一枚だけ、いい待ちとなったのです。待ち牌を4枚から5枚にできるのですから、25%増量のお徳用パックみたいなものでしょうか。

 さらに問題となるのは、他の人に使われている枚数です。中盤にを切っている二人は、バランス上、そのスジであるを使っていそうです。さらにもう一人が使っている可能性まで考えると、ヤマに残っている実質0枚〜2枚程度と思われます。それならテンパイを切り換えて、ション牌(場に出ていない牌)で待った方がいいかもしれません。が切られた瞬間に、宇野プロはこんなことを考えたのでしょう。

 この読みは、当たっている部分もありますし、外れている部分もあります。しかし、この大胆な発想が面白いと思うのです。

 ただしこのポンの欠点としては、を引いて待ちになる可能性や、をポンして待ちになる可能性を捨ててしまうことがあります。ですから総合的には、かなりリスキーな打ち方となります。

 このとき、チャット担当の高浜厚プロは、「このポンは真似しちゃダメよーん」と書き込んでいました(宇野プロは麻雀に専念し、チャットは高浜プロが代打ちするという二人羽織状態でした)。

 この局の結末は牌図5宇野プロは4000点をアガりました


牌図5

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