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 トータル3位となり、口ほどにもなく敗北を喫した宇野プロ。「でかい口をたたくのなら、しっかり勝てよ」と思うのは当然ですが、ネットワーク対戦で勝つのは大変だなあとも思います。

 リアルな麻雀では、始まって数巡すぎると、上級者はもう相手の技量をかなり見抜いています。仕草や目配りを見ることで、麻雀をどれくらい打ち込んできたのかわかるのです。

 しかしネットワークでは、こういった観察眼が役に立ちません。たとえばAさんがリーチをかけている状態でBさんが危険牌を切ったとき、Bさんのレベルやそのときの仕草といった情報がないと、その牌を切った理由もわからないのです。

 Bさんにも勝負手が入っているのか、その牌が通ると思った理由があるのか、安全牌を持っていないのか、ただ何も考えていないのか……。そういったことが判断できず、言うなればレーダーを外した状態で打たなければなりません。

 リアルな麻雀では、ゲームの領域と人間どうしの闘いという領域があるわけですが、その一方がまったく封じられています。ネットワーク時代になると、これまでの技術的な差は縮まっていくことでしょう。

 今回、宇野プロの敗因は間合いを詰めなかったこと、そう書きました。しかしレーダーを外された状態で、どうやって間合いを詰めればいいのでしょうか。ただ全ツッパするだけなら、そこに技術などありません。気合も大切ですが、技術を活用することだって必要です。


 けれども、そういった難問に答えを出して強さを発揮できなければ、プロという立場は存立基盤を失ってしまいます。

麻雀プロから麻雀を取ったら何が残るの?

対局に呼ばれたのにプロらしくなかったら、サギじゃないの?

 そんなことを宇野プロには言いませんでしたが、麻雀の技術や能書きで喰っているなら、勝ったという結果であるとか、一般人にはマネできない技とか、「何か」を見せてもらいたいと思います(そういった意味では、2回戦東4局のポンは新鮮でした)。

 残念ながらぼくはマダムじゃないんで、さびしそうな笑顔では陥落しませんから。



文/福地誠

著者紹介●『近代麻雀』誌に10本近くの連載を持つ業界ナンバーワンライター。通称ハカセ。宇野プロには、なぜかマウントポジション(馬乗り)を取っており、まるで遠慮がナッシング。

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