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■動き始めた戦術革命

 いま、麻雀の戦術は進化しつつあります。これまでの常識が崩れ去り、新たな戦術が 打ち立てられていきます。そんな転換期にさしかかっているのです。その核となってい るのは日本プロ麻雀協会(通称・協会)です。協会を設立して代表となった土井泰昭プ ロは、麻雀界でも1、2を争う頭でっかちで、そんな事情にも恵まれて研究と発信が盛 んになっています。そして協会の事務作業をしているのが、今回登場する斉藤プロなのです。

 協会メンバーによって書かれた『麻雀戦法最先端』(日本プロ麻雀協会著・毎日コミ ュニケーションズ刊)が最近出版されました。この本には「これまでは○○と考えられ てきたが、じつは××である」式の戦術が詰まっています。ここで一部を引用してみま しょう(毎コミさんすみません)。

最新手筋―中盤編「光速の仕掛け打ちベルト・コンベアー打法」より

 あるプロが牌譜を研究していたところ、ある決断をためらったばかりにアガリ損ねた 局面がかなりあることを発見したのだ。
 それは、の形では出てチーせず、次に出てきたをカンチャ ンならとチーして、結局待ちで終わっていることだ。そういえば、こういった 経験はわりとあったような気がする。
 つまり、が出た段階でチーすれば、でロンできていたのだ。形だけで判断し たための裏目だ。(中略)
 A図なら、この形でがんばってみて、が出れば1枚目からチー。その後のをチー、チーでテンパイにもっていくというのだ(C図)。立て続けにひくのは難し いが、立て続けに鳴くのなら十分。そのうちの1枚くらいはツモれるかもしれない。も し、が出なければ、オリればよい。
 このように重い手牌が一遍にテンパイとなる、この高速の仕掛けを、そ のプロは「ベルト・コンベアー打法」と名付けた。
 はたして、流行手となるか。

A図

C図     

 いかがでしょう。雰囲気はわかっていただけるでしょうか。この戦術革命の背景には、プロたちの世代交代があります。数年前まで麻雀プロの業 界では、30代なかばくらいが若手と呼ばれていたものでした。それが20代へ一気に下が りました。スカイパーフェクTV!の麻雀番組に若手たちが出演したことも大きかったと 思います。今回登場する斉藤勝久プロもそんな若手の一人なのです。


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