8/9 

■誕生するネット麻雀プロ

 まるで危なげなく2連勝した斉藤プロ。1回戦に限れば他の人がトップを取る道もありえたと思いますが、それでも完勝といえるでしょう。これまでプロが苦しむところばかり見てきた気がするので、これほどまでに圧勝されると意外にも思えます。

 ここで、これまでに行われたプロ対戦の結果を振り返ってみましょう。プロ対戦は今回が17回目となり、プロの優勝は6回目となります。勝率でいうなら35%です。決して悪くはない数字です。また、ぼくが観戦記を書くようになってからこれが7回目で、プロの優勝は2回目です。すなわち勝率は29%です。苦戦ばかり見てきた気がするのですが、決してそんなことはないのですね。

 ゲームによって勝率には上限が存在します。麻雀の場合はおそらく30〜35%の間だと思われます。もちろん母集団のレベルにもよりますから、正確な数値を決めることはで きません。それでも魔法使いでないかぎりは、長期に渡ってそれ以上の結果を出すこと はできないはずです。

 こうしてトータルで見てみると、わずか半荘2回の短期戦でありながら、プロたちは 上限に近い結果を残しているわけです。環境に慣れていないことまで考えるなら、驚異的な成績といえるでしょう。ぼくは自分自身がネット麻雀をするようになって、当初は リアルの麻雀よりも技術差が狭まるのではないかと思いました。しかし単純にそうとは いえないようです。プロの成績は、やはり強い者が勝つんだよと語っています。

 ネットで打つ麻雀はリアル麻雀とくらべて、研究という面でははるかに環境がよくなります。ログが簡単に取れますし、さらに開発することによって、さまざまな集計ツール を使うことだって可能になります。そういったアプローチによって麻雀の新しい側面が見えてくることでしょう。それが麻雀の戦術の研究につながり、戦術革命をさらに促進するはずです。こういったことは、すでに東風荘ではかなり行われています。

 斉藤プロのように、ネットの方が得意というプロもすでに登場していますから、ネットプロが誕生するのも遠い先のことではなさそうです。きっと斉藤プロは初期メンバーの最右翼で しょう。そしてネットプロの登場は戦術革命をさらに推進するはずです。そこからまた新しい麻雀プロの道が開けていくるのだろうと思います。それはネットだけのプロなのか、それともネットを主たる場とするプロなのか、そういった定義もしばらくすると見えて くるのでしょう。

 ところで、これまでプロ対戦を連覇していた唯我独損氏は、今回、敗北を喫しました。対局の日に韓国から帰ってきたそうですが(ワールドカップのキャンプ地に照明を設置する仕事だとか)、遠路むなしく朱雀王の座を失いました。しかし、翌日になると今度は雀賢王を手に入れて、あっさりと防衛記録を塗り替えました。転んで もただでは起きない――それもまた強さの資質なのかもしれません。  

 麻雀はタフに打て。そして麻雀はバカに打て。そんな教訓を残したプロ対戦でした。



←BACK

NEXT

Copyright(C) 2002 IS-Japan Inc. All Rights Reserved