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■牌流定石の部分的継承者

 ここで崎見麻雀の主要素を箇条書きにしてまとめてみましょう。

  • メンゼンを重視する。
  • ツモがトイツ系かどうか常にチェックする。
  • 役よりも手幅を優先する。
  • 役よりも場況から見た待ちのよさを優先する。
  • 無駄な振り込みは徹底して避ける(これは具体例を出していませんね)。
 そしてここにもうひとつ、(ぼくは目撃していませんが)配牌のよさとドラの枚数と役満の回数は驚異的という要素が入るのです。

 これが単純化した崎見麻雀で、なかなかオタク度の高い麻雀のとらえ方だと思います。とくにトイツ系のツモをチェックするところなど、麻雀マニアの発想でしょう。彼女はいろんな麻雀を打つなかで、一番面白いと思うのがブー麻雀と101だということですから、マニアックであることは間違いないでしょう。彼女の打ち方にケチばかりつけているようですが、じつはぼくの麻雀と似ている部分も多くて、シンパシーを感じます。

 じつは彼女の戦術には源流があるのです。20年から10年くらい前に、プロを中心とした麻雀マニアのあいだで、青野滋プロの唱える「ツモ牌相理論」と金子正輝プロの唱える「牌流定石」という戦術が流行しました。一言でいってしまうと、ツモ牌相理論とはツモの相に添って手作りする方法で、牌流定石とは牌の流れに添って手作りする方法です。同じようなものですね。

 基本となっている考え方としては、どんなツモにも片寄りはあるから、それを早くキャッチして利用しようとするのです。おもなところでは、一色に片寄ったツモの流れに乗ってホンイツやチンイツを作ったり、同じスジに片寄る傾向をキャッチして、たとえばからを切ってをツモったりするものです。

 さらに牌流定石では、勝負の押し引きまでツモによって決めようとします。すなわち手牌の邪魔をするように危険牌をツモってきたときにはオリるけれども、ツモによって手牌が伸びて危険牌が押し出されるときには勝負するのです。具体的には、
に危険なを引いたらオリますが、を引いたら、リャンメンが3メンチャンに伸びたわけですから、危険なであっても勝負するのです。

 バブル以前にはこういった戦術が大きな勢力を持っていたため、40歳以上の麻雀マニアはかなり影響を受けています。30代なかば以下となるとあまり影響を受けていないのですが、崎見プロは個人的資質としてオタク度が高かったためか、あるいは超勉強家だったからか、こういった寄せ系戦術を部分的に継承しているようでした。


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