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■南1局0本場&1本場 最悪の状況から一転して

 まずまずの配牌を手にします。

 ドラ

  ここから見えているのはドラ1の2900点と、リーチドラ1の3900点、その先には456の三色もありますね。2巡目にが出ますが、横山さんはスルーします。

 鳴かず

横山 「これは鳴かないですよ」
ハカセ「もし続けて2枚目が出たら?」
横山 「やっぱり鳴かないですねえ」

 一般に親はチャンスですが、振り込み率が高まるピンチでもあります。とくに危険なのは沈んでいる親であり、しかも南場です。ですから南場の沈み親で冷静な麻雀が打てるなら、その人は精神力があるといえるのです。

 チャンス手が続けて空振りしても、横山さんは落ち着きを保っていました。これはプロとしては重要な能力で、こういったメンタル面が強くないかぎり土壇場で勝つことはできません。巷の雀ゴロと競技プロとの違いもここにあります。ぼくの知っているある雀ゴロは、自分のホームグラウンドでは恐ろしほど強いのですが、おそらく衆人環視のなかでは能力を発揮できないでしょう。アウェイで勝てない人はプロにはなれないのです。

 6巡目、この牌姿になったところで2枚目のが切られました。横山さんはポンして切り。次巡7巡目、ここにきて横山さんは小さな方向転換を見せます。をツモって切りと、珍しくドラ切りも辞さない構えを取ったのです。

 ツモ ポン

横山「ここで上家から出たら、チーしてテンパイに取りますねえ。そしてドラを切っちゃいます」

 ドラ重視の横山さんもこの局面では連荘優先にシフトしました。あくまでドラを使い切るつもりならをツモ切りするところです。そんな状況で対面のパチスロ王氏からリーチが入りました。局面は一気に緊迫します。そして同巡、上家がを切ってきました(牌図2)。

牌図2

 当初の構想では、このをチーしてドラのを切るつもりでした。しかしリーチが入って局面は急変しています。この局面、当初の予定通り上家のをチーしてドラのを切るのも間違いではないと思います。リーチしてきた対面はを切っていますし、が3枚見えていて待ちはワンチャンスです。ドラが安全ということはありませんが、本命クラスの危険牌というわけでもないのです。そしてが通ったら、こちらの待ちは悪くない待ちとなります。

 しかし横山さんは危ない橋を渡りませんでした。ここでドラを切ってそれが通ったとしても、そのあとで危険牌を持ってくるかもしれません。こちらの手牌はどうせ1500点です。連荘したい親とはいえ、そんなギャンブルをする必要はないということですね。横山さんはこのをチーすることなく、それどころかをツモるとメンツを崩して現物のを切る安全策を取ったのでした。

 すると今度は上家もリーチしてきました。こうなると防戦一方です。そこから下家が鳴き始めて3フーロ。どうやら一人ノーテンで終わってしまいそうです。南場の親も流れるのか……。そう思って見ていたら、下家が「ロン」といったとたんに−12000点の表示が出たのでした。みどりんごさん、フリテンのチョンボ炸裂です。あわや一人ノーテンというところから、一転して4000点が入って連荘できることになったのでした。

横山「この人、わたしのこと好きなのかな〜?」

 そして次局、横山さんはをポンして2900点をアガります。完全に息を吹き返しました。

横山「みどりんごさん、ありがとう!」

 さらに次局の1本場、横山さんがおもしろい打牌を見せました。

 ドラ

 7巡目、ここからドラのを切ったのです。

ハカセ「を切らずにドラのを切るってことは、ピンフを想定して点数よりも手幅を重視してるわけだよね」

横山「いつも打ってるプロ協会の麻雀って、リーチするとみんな振ってくれないんですよ。そして勝負してくる人は高いんです。だからたいした手じゃないときはリーチしないことを前提に考えてますね」

 その直後に東風の虎さんのメンホンが炸裂しました。振り込んだのはみどりんごさん。

 ロン ドラ

横山 「危ない。を引いてたら打ち込んでましたよ。でももったいないですよね、ソーズなら何を引いてもチンイツなのに」
ハカセ「横山さんだったらアガらない?」
横山 「いえ、アガります(笑)」

 こうしてみどりんごさんが脱落し、残る3人がほぼ3000点以内で競っている状態となりました。


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