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■捨牌読みケーススタディ

 2回戦東1局、初音さんにドラアンコの配牌が入りました。ですが、初音さんがテンパイする前に東風の虎さんからリーチが入ります。さて、ここで捨牌読みの問題です。初音さんの立場から見て、東風の虎さんのリーチの危険牌を考えてみたいと思います。

●牌図5

 リーチ宣言牌のからわかることは何でしょう。安全牌を持っていた――つまり十分形のリーチではないかと予想されます(端牌のシャンポンといった待ちではないだろうということです)。では十分形、すなわちリャンメン待ちだとして、危険スジは何でしょう。

 まずはソーズからいきましょう。と両端が切られていますから、危ないのは真ん中のだけですが、初音さんの立場から見ては5枚見えています。すなわち危険なのはの1点ですね。がいっぱい見えている=相手には入っていない可能性が高い、ということです。

 では、は絶対に通るのかといったら、そんなことはありませんけれども、ここでを切って振り込むようなら、それはそれでしょうがないと思うのです。自分の手牌がある程度整っていたら、押さえるべきは本命スジだけで、それ以外のスジで振り込むのはしょうがないのです。

 つぎにピンズはどうでしょう。切れているのがリーチ前巡ののみ。こんな場合、阿佐田哲也さん時代にはが本命といわれたものでした。このは、からあまったものと読んだのです。けれどもそう考える根拠は何もないですから、も十分にありえます。

 場にピンズの濃淡(いっぱい切られているスジ)もありませんから、こうなるとお手上げです。捨牌から見て下家がピンズをいっぱい持っていると予想され、その形がわかりませんから、ますます危険スジを絞り込むことはできません。

 最後にマンズはどうでしょう。捨牌には1枚も切られていません。場を見るかぎり、下家はマンズをほとんど使っていないでしょうし、自分の手牌にも1メンツしかありません。といって上家もマンズのホンイツやチンイツではありません。

 ということは、このリーチの手牌にはマンズがけっこう使われていて、最低2メンツ、場合によっては3メンツあるかもしれません。多メンチャンもありえるでしょう。危険スジを絞り込むのは難しいのですが、場を見るとは4枚、は3枚が見えています。

 先ほどと同じように、いっぱい見えている=相手に入っている確率は低いという理論からすると、本命はのほうが危険度が高そうに感じます。ですが、見えているのが4枚程度では、あまりあてにならないのが困りものです。

 といったわけで、結論としてはこうなります。リーチ者の手牌は、マンズ2メンツか3メンツ、ピンズ1メンツか2メンツ、ソーズ0メンツか1メンツ(持っているとしたらの形)ではないか。おそらくマンズ入り目のピンズ待ちか、ピンズ入り目のマンズ待ちだろう。本命スジはとなる。ぼくだったらそんなふうに考えるのです。

 それってほとんど全部じゃん! そんなの読みって言わないでくれよ! そんな意見が出てくるのはもっともです。これでは危険スジの数が多すぎます。でも捨牌読みとは、その程度のことしかわからないものです。もっとわかるようになりたいという方は、捨牌読みに期待しすぎているのではないかと思います。人生と一緒で、いくら保険をかけたって一寸先は闇です(と、たいした人生経験もないのに語ってすみません)。

 さて実戦での正解は何だったのでしょう。経過を追ってみましょう。このあと初音さんはを引き、のシャンポン待ちでこちらもリーチします。

 けれどもすぐに東風の虎さんの当たり牌を引いて振り込み。裏ドラも乗ってマンガン。相変わらず苦しい展開です。初音さんの引いた当たり牌は。東風の虎さんの手牌はこうでした。

●牌図6

 あれだけあった本命スジは全部はずれ。場に3枚見えているから薄いはずと思ったが、なんと4枚も使われています。捨牌読みって本当にあてにならないもんです(ぼくがヘボなだけ? い、いや、そんなはずは…)。

 2回戦もマンガン振り込みからスタートした初音さん。なんとも苦しい展開です。優勝するには2回戦トップが至上命令。それだけではなく他家の順位条件まで限定されています。このまま惨敗してしまうのでしょうか。
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