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 そして東2局、2人がリーチ、1人が鳴いたホンイツと、バビィを除く3人がテンパイした結果、バーサス氏がマンガンをツモりました(牌図2)。これがその手牌です。


リーチツモ ドラ

 ドラが2枚あるためマンガンになっていますが、役はリーチとツモだけです。どうでしょう。カンという待ちにもかかわらずリーチしてきたことに、スピード派の臭いが感じられないでしょうか。

 このときバーサス氏は即リーチせず、リーチしたのはテンパイしてから2巡後のことでした。一通への手変わりとリャンメンへの変化を待ったわけですね。スピードを重視しながら破壊力が高くなる工夫もする、それがバーサス氏の姿勢だったのです。


■牌図2




牌図2

 この牌図1と牌図2を見ていただくと分かるように、バビィは超大物手を狙ってフルスイングするスタートを切りました。その間に、他の3人は現実的な対応をして、ぶつかり合っていました。

 その現実的な対応には、東1局、バーサス氏によるチンイツのような”大物手”もありますし、また東1局、ハリー氏によるツモのみのような”かわし手”もあります。しかしいずれにしろ、みなテンパイまで手牌を進め、めくり合いに参加していたわけです。

 つまりバビィは超然と一人麻雀を打ってしまい、はじめの2局に「参加」していなかったのです。そしてCOO氏もまた、バビィと同じように卓に心が乗れていない状態でした。いっぽうハリー氏は、手役狙いの打ち筋が一歩間に合わず、アガリに結びついていませんでした。そんななかから、スピードをテーマに置いていたバーサス氏が抜け出したのです。

 東3局、バーサス氏はピンフのみでリーチをかけます。裏ドラが一枚乗って3900点。そして一局置いた南1局、バビィの親番が勝負所となりました。

 南1局、バビィは6巡目にテンパイします。

 ドラ

 しかし、ここからバビィは切り。これが彼の打ち筋です。たとえ親であっても、大物手が狙えるときには、当たり前のようにテンパイを崩してそちらに向かうのです。
 首尾よく手変わりなって、バビィは8巡目にリーチをかけます。

 ドラ

 リーチ・リャンペーコーで、場に一枚切れているカン待ち。観戦している者をドキドキさせる手牌です。このリーチはエンターテナーとしての真骨頂でもありますし、バビィが大勝ちか大負けというどちらか両極端になりやすい説明にもなっているでしょう。

 同巡、バーサス氏の手牌はこうなっていました。

 ツモ

 チートイツ・ドラ2のイーシャンテン。バビィの当たり牌であるが一枚浮いています。アガり切りたい手牌ではありますが、そうすればはあふれてしまいそうです。
 バビィのリーチに通りそうな牌だけ切りながら、バーサス氏の手牌は12巡目にこう変化しました。

 ツモ

 チートイツに進むには、を切っていかねばなりませんが、ここでバーサス氏は切り。そして16巡目にテンパイします。

 ツモ

 そして次巡の最終17巡目、ドラのをツモアガリしたのです。チートイツに固執していたら、アガリはなかったところです。この綱渡り的なアガリによって、バーサス氏は2着と3万点近い差をつけたのです。

 いっぽう、この局にハリー氏はダブルリーチがかかってもおかしくない、こんな配牌を手にしていました。

 ドラ

 しかし、この手牌がいつまでもテンパイせず、途中でバビィのリ−チにオリるハメになったのですから、麻雀の運命とはわからないものです。ただし私の意見としては、5巡目に4枚目のを引いた時点で、即座にカンしてほしかったと思います。

 ツモ

 ここでハリー氏はを切りました。つまり、くっつきテンパイをドラのに限定して、テンパイしたらカンして即リーチという構えを取ったのです。先にカンしてしまうと、誰かからリーチがかかった場合に、裏ドラをプレゼントしてしまうということでしょう。
 けれども、それは隙のないバランス型の発想です。次局に親番を控えた3着目の立場としては、この手牌は譲れない勝負所に思えるのですが、どうでしょうか。

 こうしてバーサス氏は東場に戦略的な努力を積み重ねた結果、南1局の天王山を制したのです(牌図3)。そして1回戦をダントツで終了しました。

■牌図3

牌図3

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