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■第4コーナーでの大逆転

 さて2回戦です。岸本プロが優勝するには、かもめのどらさん氏を大きく沈める必要があります。自分がトップになっても、かもめのどらさん氏が2着では届きません。普通の人は自分が点数を稼ぐことに成功してから狙う相手を沈めようとしますが、ここで岸本プロが最初から条件作りを強く意識していたことは、条件戦を数多く打っている場数を感じさせました。

 かもめのどらさん氏は自力で3連覇を勝ち取ろうということでしょうか、2回戦に入ってから強気の攻めが目立ちます。早い段階から鳴きを入れてきたり、ビシビシとリーチをかけてきたり、どの局も、かもめのどらさん氏vs他の3人という構図となりました。

 東1局、親の岸本プロの手牌は6巡目にこんな形となっていました。

 ドラ

 高くなる見込みは薄くとも連荘の期待は十分でしょう。しかし7巡目、かもめのどらさん氏がカン待ちでリーチして、一発でへいちゃん氏からアガってしまいます。

 ドラ

 リーチ宣言牌はですから、急いでテンパイを取らずともいくらでもピンフになる形です。それをかもめのどらさん氏はあえてカンでリーチしてきたのでした。一見すると強引なリーチですが、岸本プロの手牌のの部分を見てください。場には1枚切れでしたから、岸本プロのカンは残り1枚しかありません。といってを切り出すと、かもめのどらさん氏に振り込みとなってしまうのです。つまり岸本プロの手牌は、テンパイが追いつかなかった以前に、かもめのどらさん氏のリーチに殺されていたのですね。

 東2局は岸本プロが絞りに回った局でした。岸本プロとへいちゃん氏、そしてかもめのどらさん氏の最終形を見ていただくと、岸本プロがいかに必要牌をきっちり止めたのかおわかりいただけるでしょう(牌図5)。字牌をいつも絞っていては手作りが遅れるばかりですが、必要な局面ではピタッと止めて他人のホンイツやトイトイの成就を防ぐ、これも上級者の必修科目です。

牌図5

 それ以降の局は、攻めるかもめのどらさん氏とアガるへいちゃん氏という図式で進みました。ガンガン攻めながらも、かもめのどらさん氏は沈んでいます。そんな流れの変わり目は、南1局1本場、岸本プロの親番に訪れました。

 9巡目、岸本プロの切ったを、かもめのどらさん氏はチーします(牌図6)。これは鳴いてもおかしくない牌ですし、鳴かなくてもおかしくない牌ですが、結果としてこのチーにより、へいちゃん氏と岸本プロのテンパイ牌が次巡同時に流れました。かもめのどらさん氏がチーしなかったら、二軒リーチとなっていたのです。

牌図6

 この動きが実ったかのように、次局、かもめのどらさん氏はリーチして、トップ目のへいちゃん氏から起死回生のハネマンをアガったのでした。これで一躍かもめのどらさん氏がトップ目に立ちます。

 このアガリでかもめのどらさん氏の勝利は間違いないかと思われたのですが、そこからドラマは意外な展開を見せました。残り1周となってかもめのどらさん氏の勝利が濃厚になったことから、局面は荒れ始めます。残る3人ともじっくりと一発を狙う姿勢ではいられなくなりました。

 そこから先は乱打戦となり、結局、2回戦のトップを取ったのは東風の虎氏でした。観戦していた身としては、第4コーナーをまわってから一気に他の馬を抜き去ったという印象です。総合点でも氏はかもめのどらさん氏をわずかに100点上回って優勝に輝きました。

 この微差での敗北を、かもめのどらさん氏は昨年最大のショックだったと語っています。1回戦のオーラスに、東風の虎氏は2着となりましたが、そのアガリはここで実ったのですね。


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