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■トイツ感度が生命線!?

 また別の傾向が東4局に表れていました。こんな手牌で崎見プロは6巡目にテンパイします。何を切るのがいいでしょう?

 ツモ ドラ

 このとき、崎見プロは「うーん」と5秒ほど考えました。そしてを切ったのです。ピンズの変化としてはイーペーコーチャンスとドラ引きがありますし、ソーズはにくっつけば234の三色チャンスがありますから、切りはまさにこの一手でしょう。

 ぼくが注目したのは、ここで彼女が5秒ほど考えたことでした。それは多少迷ったということであり、すなわち切りリーチを選択肢として考えていたことを意味します。

 ここで彼女が5秒ほど考えたことの中身は、この局にはトイツ系のツモが来ているかどうかの確認であり、よりも先にツモる可能性でしょう。そう、彼女はツモの傾向に神経を研ぎ澄ましており、手牌がシュンツ系に向っているかトイツ系に向っているか、いつも意識しているのです。

 プロ協会のHPで、崎見プロは「徹底したメンゼン派。タテヅモの流れをつかむのを得意とする」と紹介されています。

http://www19.u-page.so-net.ne.jp/bd6/kyokai/kyokaiin/sakimi.htm

 この「タテヅモの流れをつかむ」とは、シュンツよりトイツができやすいツモの傾向を早い段階でキャッチして、うまくトイツやアンコを作るということです。彼女はどの局にもチートイツに向かっていたらトイツがいくつできていたのかをかならず数えています。それくらいトイツ系のツモをキャッチすることは彼女にとって重要な戦術で、きっとチートイツは麻雀の根幹に位置する役ということなのでしょう。そんな姿勢が、よりはっきり出ていたのは南1局1本場でした。これが崎見プロの配牌です。

 ドラ

  一目見てマンズのホンイツが見える配牌ですが、彼女は決め打ちしません。ここから第1打にを切り、2巡目にツモったもツモ切りします。ぼくなら第1打にを切り、第2打にはを切っているところです。そして3巡目、続けてを引いたことに、「もう信じられないな〜」とブツブツいいます。それならホンイツに行けたという後悔ではなく、いつまでたってもトイツ系のツモが来るパターンが把握できないという苛立ちでしょう。そして9巡目、こんな牌姿になったところから、なんとを切るのです。

 ツモ ドラ

牌図3

 たしかに場を見ると、ソーズの待ちや待ちはいい受けになっています。しかしは生牌(ションパイ)ですから、普通はホンイツを狙ってを切るのではないでしょうか。ぼくだったら間違いなくを切っています。しかし崎見プロは役よりも引けそうな受けを重視するのです。4メンツ1雀頭をメンゼンで作り上げることに全力を投入している麻雀といえそうです。


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